波打ち際
塔野夏子

静かな波が 寄せては返す
白い砂浜
あまりにも明るく眩しい 夏の太陽
青い空
青い海
波打ち際の波は透明

何故この波打ち際を
歩いているんだろう
夏に海に来るのなど
好きではなかった はずなのに

何故此処にはほかに
誰一人いないんだろう
こんなにきれいな砂浜なのに

白い服と麦わら帽子で
この波打ち際を
歩いている
このきれいな青い海の中にも
何も棲んでなさそうな気がする

ただ波は寄せては返し
ただ一人きり歩いてゆく
何処までつづくかもわからない
この波打ち際を




自由詩 波打ち際 Copyright 塔野夏子 2022-08-21 10:54:14
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