こんな風の強い日に
秋葉竹




なにをしているのか
わからないままに
なにかをしなくてはと
胸を掻き毟る

けれどそんな焦りとは無関係に
街は動き時は進んでいる


遠くに濃い緑の山がみえて
その上を細い雲が流れてゆく

郵便ポストの下には
出せなかった手紙の亡骸が揺れて

公園のブランコは
風に漕がれて喜んで身をよじる

坂を下る自転車に乗る
子どものすこし得意げな笑顔


べつに
わからないままに
生きても
ダメなわけではない
わからないなら
わからないままで
それでもみえるものを
ちゃんとみて
それが正しくなくても
すべてを知らなくても
べつに
生きていっても
いいんだと
想った

こんな風の強い日に









自由詩 こんな風の強い日に Copyright 秋葉竹 2022-08-10 00:25:05
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