痕跡
ひだかたけし

この冷え切った白い部屋で
あなたを抱きしめる
何度でも火を起こし
苦痛の肉を背負い
地獄に溺れ天国に昇る

夢だったのだろうか
あなたが現れたのは
輪舞する精霊を見たのは

あなたのなかは温かった

この冷え切った白い部屋で
あなたを抱きしめる
次第に
渦となって消えるあなた
追いかけて追いかけて
逃れていく
どうしようもなく温かく
溢れていく痕跡

わたしは時間に溶ける
いのちの熱となり

いのちの熱となり






自由詩 痕跡 Copyright ひだかたけし 2022-07-13 19:49:18
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