オスファハンと盗賊ヨラン(四)
おぼろん

オスファハンの周りで、いくつもの炎が揺らめいた。魔法の衝撃弾である。
これならば、窓ごとヨランたちを吹き飛ばすことができよう。
ヨランはにやりと笑った。そして、窓のサッシに手をかける。
エイミノアは壁の影に隠れたままである。

一つ、二つ、衝撃弾が飛んでくる。窓はこなごなに吹き飛んだ。
その隙間から、ヨランが執務室の床に向かって飛び降りてくる。
「今のは威嚇だ。わたしはお前をいつでも殺せるぞ?」
オスファハンが冷静な口ぶりでヨランに話しかける。

「お前は、盗賊だな? しかし、ここには盗むものなどない。
 早々に退却することだ」さも億劫そうに、オスファハンが言う。
「そういう訳にはまいりません。事は重大事ですからね?」

「金品を盗もうというのでなければ、お前は何を求めているというのか?」
「情報ですよ。オスファハン殿」ヨランが平然と答える。
「ならば、なおさら渡すわけにはいかないな……」オスファハンが切り返した。


自由詩 オスファハンと盗賊ヨラン(四) Copyright おぼろん 2022-07-05 15:52:36
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