女學生日記 二十三
TAT

六月二十五日 日曜
天氣 雨
起床 六時二分
就床 十一時二分

朝遅く起きた
お勅語を書いたがなか〳〵うまくかけない
とう〳〵かけず終ひになつた
篠塚さんと一緒に行つて裁縫をする
本裁男物袷を仕上げて歸る
洋服屋へ母のお使ひに行く
夜 實家(母の)から電話がある



六月二十六日 月曜
天氣 雨後曇
起床 五時二分
就床 十時三分

吉田先生より
「自分」といふ者をもつとよく意識する事についてお話がありました
お休みには作法室でげきの練習をしました
体操は奥田先生より初の御授業をうけました
家に歸つてから母が見えないのでお辨當箱をあらつたり御飯をたいたりそれは〳〵忙しかつた
妹の筆箱をかふ



六月二十七日 火曜
天氣 晴後曇
起床 五時三分
就床 十一時二〇分

朝礼は講堂
校長先生のお話
一・釘(勤勞奉仕に使ふのを一人あたり四~五本持つてくる)
一・紫蘇(家にしそがあつたら持つてくる事)
それは學校に出来た梅をつけて軍隊に送るから

放課後 庭球をやって後バスケットボルを見る
大へん面白かつた



六月二十八日 水曜
天氣 曇
起床 五時〇分
就床 十一時二七分

朝礼講堂
奥村先生の御注意がある
今日はお晝から映寫會がある
晝前五時限の短縮授業
一・ハワイ諸島 二・花と昆虫 三・問屋の一日 四・森の狼 五・日の丸の綴り方の五つでした
夜 大雨が降つて前の道を水が流れました
大掃除は明日になる



六月二十九日 木曜
天氣 曇
起床 五時七分
就床 十時二〇分

今朝は少し遅く起きたので兄さんの支度を遽てゝする
朝礼は講堂で花村先生の御話がある
一・机の横の釘を早くうつこと
夜十時過ぎになつても母が見えぬので寢たら電話がかゝつて来たので父が自轉車で行かれた
お土産をいただく
大掃除 運動場の掃除をする



六月三十日 金曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十時二〇分

母が見えたので安心したせいか何時もより一時間も遅く起きた
夜お勅語を書く
なか〳〵かけない
背中やあしにじんましんが一杯出て かゆくて〳〵たまらない
明日忠臣蔵を見に行くので十銭出す
教室のお掃除をする
父が魚釣りに行かれる
六十二匹である



七月一日 土曜
天氣 晴
起床 六時二分
就床 十時〇分

今日から井口さんと別れて篠塚さんと竝ぶ
晝前は四十五分の短縮授業で十一時頃に終る
忠臣蔵を見に行く
大へん面白かった
學校に歸つて一・二年共に明後日の合唱を練習する


散文(批評随筆小説等) 女學生日記 二十三 Copyright TAT 2022-07-03 16:17:55縦
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