クリスタル・ナハト
TAT


ドイツ人がユダヤ人の商店を夜中に襲い
割られたショーウインドウの
破片が
舗道に散らばり
月明かりにキラキラと
輝いていたのが印象的で
その夜の出来事は
「水晶の夜」と名付けられた
教科書にそう教わった時
最初に思ったのは
「略奪しといて美しい名前付けんなよ。キモいなコイツ。ユダヤ人商店焼き討ち事件でええやろ」
だった。






関西で言うところの
「ええように言うな」だ





気をつけろよ君も







今もまだ




この世は






これだらけだ




























じきにロシアが勝っちゃって



ウクライナ侵攻だって




正義の名の元に行われた聖戦であったと





僕らの子供が学ばされる日が




来るのかもしれない
























それは正に




なんか知らないけど





貧乏で働きづめだった






僕の二十代と三十代を








この国が







しれっと「ロスト・ジェネレーション」と呼ぶ構図に







とてもよく似ている






「失われた二十年」だと?












他人事のように言うな


棄てたのはお前らだろうが






キチンと「切り捨てた世代」と呼べよ

























俺には何も無い
子供も
美しい妻も
庭付きの一戸建ても
週休2日制の仕事も
老後の基金も
同窓会も
ファミリーカーも
年老いた親への贈り物も



















こういう
政治的な詩を書いている時の気分は
本当に糞だ






蠅と一緒に
スカトロ趣味のファックしてる
最低の気分になる





























































































結句だと?




そんなもんお前が鉛筆で書けよ










自由詩 クリスタル・ナハト Copyright TAT 2022-06-29 08:53:53
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