小旅行
◇レキ

ちょっと仕事したり
仕事してるふりしたりした
死んだふりもした
疲れた

休日は
ぼろぼろに千切れた心
両手に抱えてあの世に小旅行


骸骨のフラダンスの曲、イヤホンで聴きながら
雲を紡いだ糸でちまちまと心を縫い上げる
疑心暗鬼で真っ黒になっている心を千枚通しで締める


それからたっぷりのぬるま湯に浸そう

木々がざわめく中
物語は止まっている

湯船に浸りながら泥のように眠る
木の葉が湯船に落ちて波紋をつくる
木漏れ日が裸体をくすぐってくる


膿も栄養もなくなったし
散歩がてら心を天日干しする

うっそうと茂る藤棚のそばの
枯井戸の底を覗けば
元気に草が生えている

無人駅の跡地には何もない
優しさだけが残って


見たことのない風景を心に飾る

日が落ちてゆく
そこに悲しみはない

何もない幸せを噛みしめる


自由詩 小旅行 Copyright ◇レキ 2022-06-27 23:49:14
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