熱風
ひだかたけし
雨が降っていた
こころの雨が
青空が広がっていた
うちゅうの青空が
雨も青空も澄んでいた
異様に大きな紫陽花の花房が
熱風に揺れて光っていた
それはこころとうちゅうの境だった
哀しい怒りがこみ上げてきた
こっちとあっちに分裂して
僕は震えていた
僕は震えていた
怒りは憎悪に変わっていた
まるで焚き付けられたように次々と
僕は背後の兵士を思った
執務室に独り籠るプーチンを思った
*
こころの雨が降っていた
うちゅうは相変わらず青空だった
熱風が僕を駆り立てるように吹いていた
熱風が逃れがたく吹いていた
僕には待つべきものがある
うちゅうとこころの境で僕はそう思った