熱風
ひだかたけし

雨が降っていた
こころの雨が

青空が広がっていた
うちゅうの青空が

雨も青空も澄んでいた

異様に大きな紫陽花の花房が
熱風に揺れて光っていた
それはこころとうちゅうの境だった

哀しい怒りがこみ上げてきた
こっちとあっちに分裂して

僕は震えていた
僕は震えていた

怒りは憎悪に変わっていた
まるで焚き付けられたように次々と

僕は背後の兵士を思った
執務室に独り籠るプーチンを思った

  *

こころの雨が降っていた
うちゅうは相変わらず青空だった

熱風が僕を駆り立てるように吹いていた
熱風が逃れがたく吹いていた

僕には待つべきものがある
うちゅうとこころの境で僕はそう思った


自由詩 熱風 Copyright ひだかたけし 2022-06-24 17:17:55
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