水辺
ふるる

子どもだからと置いていかれた
それでもそっと覗いて見ていた
あなたと私
繋がらないまま黙っていた
想像していたよりも良かった
でも と言い淀んで
私とあなた

すぐに来るからねとうなずいて
何年もたって分かった
約束は果たされない
疼きはおさまらない
紙の飛行機が青空に映えて
それだけが綺麗に目に残った

サイカチの枝を折って
手渡した
あなたと私
仲良くするんですよと告げられた
分からないけれど多分そうする
それしか道がないのなら仕方がないし
他の道があっても多分選ばない

どうぞと言われて座ったけれど
むずむずする席だった
咳払いを一つしてくれたのは救い
私とあなた
ここから見える星はどれも冷たそうで
やはり寄り添うのが正解
何より
紙の飛行機を飛ばせるのはもう二人だけ

勇気を出したい時は合図すればよかった
席を立ったのは同時で
逃げるのかと問われてそうですと答えた
あなたと私

水辺で
月と星が揺れている





自由詩 水辺 Copyright ふるる 2022-06-18 21:51:17
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