アムニージアック
ひだかたけし

ふくよかな体つきのサウンドが
自らに重なり溶けて
一瞬青ざめ
ゆっくりと身をもたげる

擦れる不協和音とひび割れた赤子の声
夢の中に解き放たれ
途方に暮れた街を転げ廻りながら

記憶喪失の通行人のように
来し方も行く末もすっかり忘れ
堂々巡りを繰り返す
捏造された記憶に踊る無数の人間に囲まれ
次第に足場を失い叫ぶ、叫んでいる

  *

酷く憂鬱な気分で日が暮れる
ノスタルジックな響きが這いずり回り
夜闇の無帰属に放擲されながら
階層の異なるピラミッドを昇る
次第に陶然となりながら
失われた大地を目指し
昇る、昇る、
ただひたすらに、昇る

 わたしを自由にして
 わたしを解放して
 わたしのたましいを





自由詩 アムニージアック Copyright ひだかたけし 2022-06-08 19:42:55
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