孤独の輪郭
ひだかたけし

孤独の輪郭をなぞる
深い峡谷の故郷にて
何処までも透明な湖に沈んでいくように
分離していく、
昼間の震えが嘘のように

ナイフを肉に刺し貫く
ナイフを身に刺し貫く
走る激痛に
深く潜行する
落ち着き払う
孤独が囁く
孤立ではない、
おれはおまえの
不離一体の存在だと
孤立ではない、おまえが
ずっと引き摺っていく闇だと

ひび割れた白壁に踊る影
淀んだ水底に誘う白手
声を上げてはならない
その時おまえは孤立する

満天の恒星たちが凝視する
独りの不安を、独りの恐怖を
恒星たちが降下する
孤独の輪郭を夢の中
今一度辿るようにと
爆発する宇宙の
喜悦の声を聴けと

ホッと紐帯がほどける夜陰、
独りの清明が到来する










自由詩 孤独の輪郭 Copyright ひだかたけし 2022-06-06 19:45:55
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