フィクションノンフィクション
蒼木りん

明日から
社食の量を減らそうと思う
私の腕は短い
足も
身長も
なんだか損
ピアノの指は動かない
もう夜更けなので
音が出せない
残り時間は
現代詩

本を読ませてちょうだい
せめて
新聞くらい
もっと
強くなるから
目も耳も
鋭くさせて
ツマラナイに負けていられないから
テレビも
ちゃんと座って見よう

血色の皮膚が
母譲りで
母は
自分の目の前をこなすことで
日々を生きてきて
孫が出来た頃
やっと後ろも前も
遠くを見渡せることが出来たと思う

過去は思い出せない
未来も夢見ない
私は
とりあえず
2メートル先くらい
それでも薄霧の中の
あの山のくねくね道みたい
どうしても少しスロー
クリアとパスで
いつまで続くかな

花がたくさん
咲いてるでしょう
ポットでなくて
庭に直に
そんな庭を
いつか私もつくるよ
朝早く起きて
たまに寝坊する
たまに
温泉にも行く
ようにしなくちゃね

ずいぶん身勝手だな
あらためて思ったりして
私は
やさしいのはやさしいからじゃないの
他人と同じは嫌なところは
ひねた親父に似たのかな

私の帰り道は
いつも
アスファルトを見つめて
ひとりだから
計算弱いし
カラオケの十八番
ひとつくらい用意しておこうか

ごめんね
セックスと家庭は
別なんだ
七色の仮面
それほどはありませんが
得意不得意
夢と現実
フィクションノンフィクション

本音は
私を嫌う人が
苦手なのと
去る人を見るのが
寂しかったりする
売りの部分だった
純真無垢も
何かと引き換えにしちゃったから
嗚呼
偽物つかまされた

あっという間
もう5月なんだね
まだ5月
田んぼが鏡の頃
まだ始まりだね
冷蔵庫で
エシャレットが萎びてしまうから
明日茹でる
コジュケイの鳴く声の中
緑の萌える気配が好き
里芋とイカの煮物
浅葱を散らしたのも
明日つくる



未詩・独白 フィクションノンフィクション Copyright 蒼木りん 2005-05-03 00:47:39
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