スタアインゼリイ
塔野夏子
僕らがよりそう宵のバルコニイのテエブルに
ぽとん と小さな星がおちてきたので
それを閉じこめて
ゼリイをつくった
星の光を透かせて
ほのかに光るゼリイ
そのゼリイのふるふる ふるえが
僕らの幸福なのだと思う
たべてしまえばおわりだけれど
ゼリイといっしょに
星の光をあじわえば
きっとずっと忘れないだろう
そう思いながら
夜が明けるまでそのまま
ほのかに光るゼリイを
バルコニイでよりそって
僕らはずっと眺めていた
自由詩
スタアインゼリイ
Copyright
塔野夏子
2022-05-17 11:07:58