赤いちりとり
そらの珊瑚

春は淡い
命がそこかしこに生まれては散る
風はそよぐ
樹々の葉がさざ波になる
風と水は似ている
そうかな
そうだよ
どちらも掴もうとしても掴みきれない
手のひらを開いたとたん
そこは
現実

脚立の上に赤い花が咲いたね
よく見てごらん、さあ、カーテンを開けて
違うよ、あれは赤いちりとり

それが
現実
わたしはいろいろ間違える
亡くなったのに生きている、だなんて
夢の中で
手のひらを開けば、羽音
色とりどりの小さなちり鳥たちは
この世の塵芥を食べて
柔らかなプラスチック製の羽で飛び立つ
そしてわたしは乗り遅れる
どこへ行こうとしていたんだろう



自由詩 赤いちりとり Copyright そらの珊瑚 2022-04-16 07:40:44縦
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