12 Songs
由比良 倖

広辞苑の半分は愛で半分は君の永遠と共にあれ、かしこ


水色のケトルでお湯を沸かしてる鳥のつもりで眺めているの


感情が死んでいくんだ僕はもう君が見上げる空にはいない


しーずーかにーしてくださーいー死ぬ音が聞こえません聞こえませんから


「地面とはくっつく壁のことですね」「ええ、通常は足を付けます」


それを知ったら多分私は死んでもいいの夏の朝でも秋の午後でも


あなたにはありふれたことだろうけどそれは私の日常語じゃない


眠れない夜の言葉を虹にする短歌マシンはアップル社製


僕たちの見えない敵を僕たちは言葉の影で培養してる


期待した夢、星、光、今はもう過去のどこかに冷たいそれら


落ちた血は夜の底へとウミユリの光る目眩に看取られながら


この星の最後の人が帰宅して全ての愛を消去するまで


短歌 12 Songs Copyright 由比良 倖 2022-04-11 05:56:38
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