開戦前夜(二)
朧月夜

ここで、予想外の人物の登場を許していただきたい。
それは、幽冥界の王、エランドル・エゴリスである。
エランドルは、現世への執着をなくして以来、
ナルラゴンという幽冥界の一つに住んでいた。

幽冥界の時間の流れは、現世とは違う。
ナルラゴンの百年の時間が、現世では一か月並みなのである。
エランドル・エゴリスはそうして、生きてきた。
そして、待っていた。ククリス・リーガンディアが蘇ることを。

エランドルは、エインスベルこそがククリスの生まれ変わりだと、
そう信じていた。その魔力の高さを見れば分かる。
ククリス・リーガンディアは、その存命中は精霊使いだった。

「エインスベルよ、わたしはお前の力を期待している。
 ヨースマルテは一つにならねばならぬ。そのためには、
 わたしはお前への助力を惜しまないだろう」エランドルは呟いた。


自由詩 開戦前夜(二) Copyright 朧月夜 2022-04-08 07:01:08
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クールラントの詩