恋の咲きかけ
秋葉竹



夜になると思うけど
いちにちで恋をひとつ作り上げて
いちにちで恋をひとつ
棄てよう
とおもう

曜日ごとに違う匂いの夜風に
少し鉱物の硬さが加わる日なんかは
心の古いところまで洗われている
気がするほどなんです
極楽じゃ〜、ってゆぶねで呟いて
だって
やることがほかにないから
しかたがないのです



ここには
こころをもつひとひとりもいないので
こころが洗われる
というこわい嘘

嬉しい
あれ?
嘘ばっか
慰めて
くれる?
じゃあ
ねぇ、それなら

あなたになら、聴こえるかなぁ?
聴こえるかもしれないです
ほら
今夜も眠れなくて
夜空を見上げると
耳元で
やさしく、ね?

《月が綺麗ですね?》

そんな美しい《セリフ》でもいい
あたたかい気持ちみたいな結晶を
ちょっと頂戴?
ダメ?













自由詩 恋の咲きかけ Copyright 秋葉竹 2022-03-06 08:11:22
notebook Home 戻る  過去 未来