天使を抱きしめてあげることもできないなんて
秋葉竹
夕陽が沈むときの寂しさを
木枯しが吹く歩道橋で立ち止まり
みた
のは、今日がこの街を
出てゆく冬だから?
小雪も、降らない
つまびらかにされた
ただの爛れた愛の部屋を
振り返ってしまい
もう、
嫌なのに、
想い出すのは、
あんなにあたたかい想い出ばかりなのは
なぜ?
あの部屋の本棚の上に飾ってた
あの恐竜になら、食べられてもいい
歩いている
路地裏のネオンの看板のそばで
じぶんの沈んだ目が前を向いていない
のを、
知る、
夜空にいる天使をみあげて
手を振ってみる
ふりをする。
裸の天使と、抱き合いたい
ハハ、
でも、
僕は人間だから、
抱きしめてあげることもできない
ので、夢をみた
こんなの。
未来まで見られる瞳を傷つけ
世界の道理を無視する瞳を光らせ
真っ二つの門の下で真の幸せを語る唇を尖らし
むかし燃えた都のほおずきを膨らませた唇を舐める
あの人とは実をいうと
優しさをまとった桃色のこころなんだと
しっとりとみつめたのはあなたの涙ぐんだひとみ
あの人とはほんとうに
けっして枯れない愛の泉のような人なんだと
軽い口調で語ったのはあなたのピンク色のくちびる
という
とても艶っぽく、色っぽい、夢。
(まぁ、文字にしたら伝わらないよなぉ)
(なら、文字にするな、と言われるよなぁ)
をみた
ハハハ
そしてこの街を出てゆく僕に
やさしい
あたたかい
涙でも
降らせてくれないだろうか?
ただそれだけを待ってる
ねぇ、
裸の天使よ?
自由詩
天使を抱きしめてあげることもできないなんて
Copyright
秋葉竹
2022-03-03 21:33:09