揺れて生きてる
由比良 倖
生活を捨ててしまっていいでしょう? 虚しい日々の真夜中くらい
毎年の数万人の自殺者のリストの端の私の名前
情報に重さがあると考えた物理学者の夜の悲しみ
常識を説く父親の瞳孔の中できらきら光るラメたち
あちらでもこちら側でも揺れている風は私を避けて吹いてる
こちらからあちら側へと行く船のリンドウ色の波の静けさ
成就した全ての夢の残骸を拾い集めて今日を生きてる
短歌
揺れて生きてる
Copyright
由比良 倖
2022-02-23 09:18:09縦