テキスト1.9
室町

       身体
肉体とは生理であり、身体とは現実である。

       生理      
生理は観念同様それ自体で自足し、成長する

       自然
生理は身体にではなく自然に属している

       現実
身体は現実であるがゆえに現実に引き裂かれる


      ポストモダン
ドゥルーズ、ガタリ、フーコ、ラカンなどの構造主義的表現は
身体性や客観的科学性を欠如した妄想の産物であるがゆえに
ゲームとして戯れている限りは観念にとって快楽である。
とはいえ現実と照らし合わせたとたん陳腐な喃語の羅列になる。

       リベラル
リベラルの立ち位置は批判対象よりも倫理の高みにいるという錯覚と頑迷のためにしばしばフレキシビリティの欠如した自己陶酔に陥る。リベラルたちの倫理はじつは政治的党派性の偽装であるがゆえにこの自己陶酔は結果として盲目的な殺戮、監視、抑圧を呼び寄せる。

        保守
保守とは長いものに巻かれる人間の弱さや、金銭にルーズな人間のエゴや権威好きな人間の性向などといった人間の業を容認する包容力がその核心にあるがゆえ外面的には不道徳の形をとる。が、非常に文学的な弾力をもつ政治姿勢である。
この弾力性は硬直した自己陶酔に陥っているリベラルと必ず対立する。


         声
精緻な詩を書くにもかかわらず日本の詩人の声ほど美的感性としては通俗なものは他に類をみない。
その低調さは部外の聴衆のだれをも悄然とさせるだろう。にもかかわらず詩人たちが密室の儀式のようにそれをやめないのは
リベラルと共通するかれらの硬直した自己陶酔が自らを客観視する一切を否定するからである。

         学問
登山の終点が下山することであるように
すべての学問の最終目的はそれを脱肯定(≒否定)することにある。
         
        東大生
余技として数字と暗記が得意な猿のことをいう。この猿が成長すると「高級官僚」と呼ばれるダニのように執拗な悪性癌になり、あらゆるものを破滅させる。(ときには「新進批評家」にもなり、ときには「詩の大御所」にもなるが、その悪性は同じである。)

         日本
あと6年で絶滅する。


散文(批評随筆小説等) テキスト1.9 Copyright 室町 2022-02-16 15:49:24
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