海の開演
壮佑

ひつじ雲はあんなに夕陽に映えて
街の建物はみなオレンジ色に染まり
見知らぬ異国になってゆくのに

君はやわらかに目をつむって
まだ見ぬ海の語りに耳を傾けている
僕には微かにしか聴こえないから
時が夕凪の空へ溶けてゆく

やがて動き始める風を追って
世界に刻まれた悪戯の行方を探す
いとけない子ども達の夜が明けたら
君と初めてのように手を繋いで
冷たい朝の草原を走ろう

天測法が導く旅の果ての
見晴らしのよい岬から遥かに望む
海の開演に間に合うように






自由詩 海の開演 Copyright 壮佑 2022-02-03 20:52:56
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