情況論 -ウィグルのアンネ-
室町

百匹の黒猫がいるともうじぶんが飼っている黒猫をみつけることは不可能だ、とだれかがいった。
百人の日本人がいても黒猫と同じだろう。これは百人の日本語を書く詩人がいても同じだ。

昨日(1月31日)、中国の正月(春節)を祝って東京タワーが真っ赤にライトアップされた。
若い中国法輪功信者から臓器を摘出したり、少数民族チベット人を虐殺したり、
(.......したり、だなんてなんと軽い響きをもつ並列助詞か。でもしょうがない)
あるいはウィグル人を強制的に奴隷労働させている中国を世界中が非難している。
そのさなか岸田首相、小池都知事連名で東京タワーを赤く染め習近平共産党の中国を祝った。
「中国のことより日本の人権問題はどうなのよ」(TVコメンテーター青木理)
青木理をみればわかるごとくウィグルのアンネは札束によって黙殺されている。

最近、内モンゴルでは中国によって34万人が逮捕、3万人が殺害されたと海外が伝えている。
満洲国時代に「日本帝国主義者と協力して中国人民を殺害した」ことがその理由であるとか。
中国共産党はそれを彼らの「原罪」と呼ぶ。ずいぶん古い話だがそれでも今の時代に生まれた人々を
殺戮する理由になるのだろうか。殺戮するだけではない。緑豊かだった内モンゴルの南は
中国共産党によって焼き払われ人工衛星からみると砂漠化している。
もちろん、百匹の黒猫たちはそんなことを知らないだろう。そもそもこの国では報道されないのだから。

現在、日本のマスメディアは死滅している。詩人や作家、批評家の心も死滅している。中国共産党と同じだ。
日本帝国主義者の原罪は一生かかっても償い切れないと彼らは口をそろえる。
そんなことで今を生きる人たちを侮蔑し、虐殺し、「おれたちの正義」を振り回していいはずがない。
この手の詩人や作家、批評家たちのたましいが死滅しているだけなのならまだいい。
この方々はまったくのデマやフェイク、ウソを垂れ流す。くろぐろとした嘘を桜紙に包んで差し出す。
それを頭から信じて世界を見ようとしない黒猫たち。
朝日や毎日、NHKなどは最近も壮大なデマを日本中に垂れ流している。
   ロシアがウクライナに軍事侵攻する。
こんなことを信じているのは世界中で日本人だけである。27日木曜日にロシアとウクライナは会見し、
ドイツ、フランスの立ち会いのもと軍事衝突は起こさないことに合意している。これが日本では報道されない。
さらに翌、金曜日の28日、ウクライナとロシアの対立を煽るバイデン大統領をウクライナ大統領が非難している。
これも日本ではまったく報道されない。
日本の報道はウクライナ危機が高まって第三次世界大戦の危険性があるなどと国民を煽るばかりだ。
なぜそんなデマを流すのか知ろうとしない。知れば自分たちの足もとがごっそり穴を開けた空虚な足場であることに
気づくはずだが。それでも黒猫たちは詩が書けるのだ。詩とはそういうものだ。ミミズのような生活もまた詩であり
、一生世界をみないで暮らすのもまた詩なのだ。
わたしはそれを尊ぶ。問題はミミズはミミズらしく、ヘタな倫理や正義感を振り回すなということだ。
その正義感や倫理はきみたちが世界を知ろうとしないことから、すべて反転する。


散文(批評随筆小説等) 情況論 -ウィグルのアンネ- Copyright 室町 2022-02-01 08:29:11
notebook Home 戻る