アパート
板谷みきょう

貴方は私と一緒に暮らそうと
二人アパート探すはずだった
勤め先はお互い離れているから
地下鉄の側が良いねと笑う

家賃はせいぜい三万位で
台所と風呂はやっぱり欲しいねと
部屋が決まった後のデートのコースは
新婚気取りで歩く家具売り場

貴方から言われた待ち合わせの場所で
あまりに遅い貴方をどんな風に
困らせようと思っていた時
信号無視のトラックにはねられたとは

あぁ
さだめと諦めきれない
私は無理して
貴方の意地悪
繰り返し思い出す

思い出と呼べる程の思い出も無いけど
忘れられない優しさに
貴方を忘れようと思ってみても
部屋の中にはお揃いの物ばかり


貴方は突然帰らぬ人になり
一人暮らしのアパートで
どうすることも出来ない心を焦がして
いつか置き忘れた靴下洗います


ある日届いた食器棚
いつか私が欲しがったのを
ぼくらには無理だよと諦めさせた
それをこっそり買ってくれてたなんて

あぁ
さだめと諦めきれない
私は無理して
貴方の意地悪
繰り返し思い出す


自由詩 アパート Copyright 板谷みきょう 2022-01-28 23:12:47縦
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