BLESSING
津煙保存
ひとの あかるい静寂に
三月の 翳りを払い
透き通る 母の微笑みと
掲げられた 父の腕と
誰一人 見知らなくとも
写し出すものを 瞳の中
いとおしいと
めぐるものたちの
ひそやかな声は集まる
呼吸を覚え
名を与えられた
立ち上がり そうして
照らし出している
開いた手のひらに美しい
音楽も 言葉も あふれ
満たし満たされていく
星を歩いている
遠ざかろうとも
記憶の海 砕け散った
かえらないひとつふたつ
なくしてしまった
おちていく
数え切れないほど
小さくなり 消えていく
なにひとつ
取りこぼさない夜空に
自由詩
BLESSING
Copyright
津煙保存
2022-01-18 10:34:20縦