宝石の虫
秋葉竹



昔みた夢を忘れられない朝

あたたかいだいだい色の朝日が染める街

いつも同じ時間に同じ橋を走る人

知らない彼にシンパシーを感じ

けれど新しい自由を求めて走る

いつか幸せにたどり着く夢をみて

胸の骨がきつく痛む恐怖に耐える


夢が叶うなら憶えていてほしい

地を這って土を掻きむしっている宝石の虫を

陸橋を通り過ぎる鉄の塊が殺した宝石の虫を

友に裏切られ陸橋から飛び降りた宝石の虫を

けれど夢を叶える方法も知らないのに

その虫たちのおかげでいつまでも夢をみられる

それを希望と呼んで前を向いている


そんなときふと子どものころ


憧れた魔法使いを思い出し


だから今日も全身真っ黒な格好で


仲間を探して空を見上げている












自由詩 宝石の虫 Copyright 秋葉竹 2022-01-08 21:53:23
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