しあわせのレシピ
秋葉竹




ちいさなお菓子をあげる
新しい味の甘いクッキー
舌も心も蕩けるように
しあわせな喜びが味わえる
ちいさな美味しい
新しい甘さの
そんなわたしの手作りクッキー

わたしにはとても大切な
想い出の味を
真似ようとして真似られず
そしてそのことに
落ち込んでたりしてた夜もあるけど

あらためて食べてみると
新しいけどちょっと美味しくない?
バカみたいだけど自画自賛して
ちいさなお菓子をいくつも作ったよ


真似みたいだけど
少しだけ似てる感じかな?
あのひとはレシピなんて
置いていってくれなかった

冬の夜の指はかじかんで
なぜかむかし乗った
冬の観覧車の二人のキスを
想いださせる

ゆっくりと想い出を引っぺがしたら
こんどはこの部屋で
お菓子作りのお手伝いをした想い出


もう笑うしかないひとりの部屋で
君を想って作ったんだよ?
ぎゅっと新しい甘さの愛をこめて
作ったんだよ?


夜に話しましょうか?


ちいさなお菓子をあげる
新しい味の甘いクッキー
舌も心も蕩けるように
しあわせな喜びが味わえる
ちいさな美味しい
新しい甘さの
そんなわたしの手作りクッキー

もう
君を想ってる朝も昼も夜も

そうか
これがあのひとが残していってくれた
《しあわせのレシピ》なんだね







自由詩 しあわせのレシピ Copyright 秋葉竹 2022-01-05 23:44:41
notebook Home 戻る  過去 未来