でっこまひっこま論
st

でっこまひっこま

とは
でっぱったりへこんだり
という意味で

これまでちょっと
聞いたことがなかったが

どうやら方言らしい

こんな面白い言葉に出逢ったのは
カメラのレンズの性能についての

有名な話のなか

最も名高い写真家の一人で
スナップ写真の大家が

自分が使っているレンズについて

ある人が
その性能をテストし

その結果が
あまり良くなかった

という
批評に対して言った言葉が

そんなテストは
まるで意味がない

被写体は
平面だけなんてことは殆どなく

でっこまひっこまがある立体だ

だから例えば
解像力のテストなんかで

平面に描かれた細い線の群れを
どこまでこまかく

分離識別できるかなんて意味がない

そう
レンズは写してみないとわからない


なるほど
言われてみれば当たり前

こんな簡単なことに
誰も気づかずにいたわけで

なんと
現代のレンズテストでも

いまだに
まかり通っているから呆れてしまう

レンズは実際に写してみて
気に入ったものを選んだほうがよさそうだ


レンズ以外でも
似たようなおかしなテストが

世の中にはあふれている

その内容を吟味もせずに
テスト結果が優秀だ

なんて一言に
だまされて


錯覚ともしらずに


買わされてしまったら


後の祭りのでっこまひっこま笑







自由詩 でっこまひっこま論 Copyright st 2022-01-04 09:06:35
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