滑走
ひだかたけし

西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は勇姿を際立たせ
沈む地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静寂に包まれて
遥かな距離を落ちていく

わたしもあなたも別々に
この遠い距離を紡いでいる
雪降り模様のこの宇宙
日々雪かきに追われては
なしのつぶてで日が暮れる
剥き出されたか細い腕
それはこの世に属したのか
この世に属したことがあるのか

西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は勇姿を際立たせ
沈む地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静寂に包まれて
遥かな距離を落ちていく
冷えた空を鋭角に抉り
ただ陶然と堕ちていく













自由詩 滑走 Copyright ひだかたけし 2022-01-03 20:16:53
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