メッセンジャーの朝
ひだかたけし

メッセンジャーが駆けて来て
身の置き場を探す
冷えきった朝
荘厳な音楽が鳴り響き
いずれ復讐される
そんな予感に浸され
一心不乱にステップを踏む

乾いた打擲音
連打されるスネア
沈んで沈んで
死をも凌駕する
冷えきった感触
歪んだ音像に分け入り
狂ったように飛び跳ねる
………

やがて、冷えきった大地を一巡し
懐かしい時代の残像が滲み出す
わたしの孤独が木霊し始め
底無しの底へ木霊し始め
然るべき場所に受け止められ
早起きしたあの朝の愛に満ちてゆく 

(そこには誰かが待っていて
確かに誰かが待っていて
伸びやかな声で
包み込む
わたしを
艶やかな声で
包み込む)

まばらなアルペジオの響き、
まばらなアルペジオの響き、

朝一番で届いた
メッセンジャーの手紙は燃やされ










自由詩 メッセンジャーの朝 Copyright ひだかたけし 2022-01-02 18:28:47
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