白い試練
st
ちょっとやり過ぎじゃないかい
下界は大雪で
いろんなところが雪で埋まって
大変な事になってるよ
と
分厚い雪雲に
すっかり隠されて
不機嫌になった青空が
雪雲に言いがかりをつけている
ゴメンネ
わかっているけど
僕のせいじゃないのよ
とにかく
遠いシベリア育ちの
寒気さんが降りてきて
まるで列島が
冬の風呂場のようになっちゃって
寒気さんがすっごく低温なので
水蒸気さんが昇華して
雪の結晶になっちゃうの
だから寒気さんが悪いのよ
と
雪雲が弁解すると
なんだってオレが悪いのさ
と
寒気が怒る
いつもなら
シベリアあたりの天国で
ゆったりと暮らしていたはずが
ジェット気流さんが蛇行して
こんなところまで
降りてきてしまうハメになったのさ
と
寒気もオレのせいじゃないと言いはる
ちょっとまてよ
オレの蛇行のせいじゃぁないぞ
と
ジェット気流が憤慨して
そもそも
蛇行なんていつもの事さ
春や夏や秋にも蛇行しているよ
そんなのオレの自由だろうに
結局は
すっごく低温の寒気が悪いのさ
と
みんなを煙にまく
こんな責任逃れのありさまに
とうとう
人格者の太陽のお出ましだ
ゴメンゴメン
冬場に一番弱くなる
僕が誰よりも悪いのさ
でもね
これは神様が与えた
白い試練なのさ
なぜって
春になれば
野山に積もった雪たちは
雪解け水となって
田畑をうるおす
恵みの水にかわるのだから
自由詩
白い試練
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st
2021-12-28 09:43:42