動かない旅路
asagohan

やわらかい土に落ちた
家の影に
夜明けの前からやって来た
霜柱が永らえる。

昇った蔓が
黄色に朽ちて、
這われた街路樹は
もう葉っぱを落として
とっくに裸になっていた。

揺れていた
痩身の百合は立ち枯れる。
墓所の様な子房が
雨に割られて
みえる種。

動かない旅が終わる。

誰かが眠りに着いた時
折れた茎から
種がまかれ、
冬の向こうへ永らえる。


自由詩 動かない旅路 Copyright asagohan 2021-12-22 07:41:51
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