影響く
水宮うみ

生臭い未来と生乾きの過去。失っていく、生きていく牛。



このうたが永遠に続けばいいと思ったこともあった気がする。



イリュージョンのようなイマジネーションが、イルカショーにはいたんでしょうね。



歩き慣れた道を綺麗だと思うには十分な月日だったよ。



引用された街で星屑崩す。印刷の風、骨に落として。



あの時の気持ちが何色だったかも、分からないけどそれでいいんだ。



腕時計外し時間から抜け出し、自然のなかへ帰っていった。



目に映るすべての色に挨拶をしてしまいそうなくらいに晴れだ。



人はみな孤独なものだと思うと痛みをすこし許せる気がした。



アクセントとして、アクセサリーとして、悪は正義の対義語として。



自らの住むフィクションを書くことはできても、ノンフィクションは書けない。



トボトボとほとほと途方にくれる歩道。ほんとほとんどトホホな徒歩だ。



古代から個体を交代して運ぶ誇大広告は広大だった。



出会うものすべてを懐かしく思う。夕陽に残る家々の影。



トリプルミーニングで高得点を出すより、きみの笑う意味を書きたい。



あなたが存在していた10秒をおれはときどき夢に見ている。



グラタンをクラクラするくらい食らい、暗いくらしに灯るグラタン。



透明な存在が好き。透明で目には見えないところが超好き。



脳裏をよぎる影はたくさんの夜を暗い空っぽにしていった。



「生きてればいいことある」ときみに言う。あなたのうそは傑作だったよ。



何も見えてはいない目で何かを視ているそののひかりをみていた。



短歌 影響く Copyright 水宮うみ 2021-12-05 21:52:57
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