雲の切れ間から愛を掬ぶ
かんな

遮るもののない青空に憧れ
背中に砂のあたたかさを感じて
自由を願った幼さは
いて良い場所が欲しかっただけなんだと
膝を抱えて震えながら泣いた

夜の暗闇を望んで
ディスプレイの光の中で生きた
私だけ救われてはいけないなんて
母を助けてほしいの
誤変換なんだと
キーボードを叩いて
詩を書きながら気づくんだ

家から逃げ出しても
過去からは逃げ切れなくて
血が滲むように
私が私を傷つけ続けた日々の痛みが
あの日の七夕の短冊に
揺れたままで
夢は叶わないでいたから

走って走って走って
走ることが世界を変えるんだ
なんて祈っても結局
走れなくなった私が見た風景は
途方もない絶望が
浮かんだ空で沈んだ海だった

ひとりでは生きられない
なんて気づきたくないんだよ
気づいたら誰か助けてって
沈んでいく夕日に向かって
私は泣き叫んで
掴んだ砂を投げつけなきゃいけない

手をつないで
手をつないだら離さないで
君と一緒に生きたいと願ったときに
帰りたくなったんだ
帰りたくなって
帰る場所がないことに気づいて
私はせいいっぱいに泣いた

愛に気づいて
愛に傷ついて傷つき過ぎた日々に
叶わない夢に、そして母に
その愛に、さよならを言うよ
今、そのままの苦しみを
抱きしめてその痛みに耐えながら
私は愛を掬んで
私の幸せを願うよ


自由詩 雲の切れ間から愛を掬ぶ Copyright かんな 2021-11-27 11:34:47
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