少女の肖像
花形新次

街角で屯する少女に
掛ける言葉を知らない大人は
彼女の俯いた横顔に
自分の娘の姿を重ねるだけの
想像力を持たない

たった一人でいるとき
人は孤独を感じない
吹き溜まりの中で
自分は誰にも理解されないと
分かったときに
人は死にたいほどの
孤独を感じるんだ

他人は
あいつは
ああいうタイプの人間だと
型に押し込んだら
安心するものだ
でもどんな人間だって
ひとつやふたつの言葉で
言い表されるほど
簡単なものじゃない

すべての人のすべての気持ちを理解したい
すべての人のすべての悲しみを
自分のものとして感じたい

自分のために生きるのは
もうやめだ
俺はすべてのきみのために生きる
きみのために祈りを捧げて
生きていく
きみがきみのすべてを否定されることなしに
暮らして行けるように

今の俺に出来ることは
それぐらいだから








自由詩 少女の肖像 Copyright 花形新次 2021-11-01 20:19:59
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