道路
はるな



いつまでも思い出す
自分だけちがう靴を履いてきたような所在なさ
裏庭のベンチがささくれ立っていたこと
ひみつね、と打ち明けられるいくつもの公然
嘘ですらない告白
知らない人間ばかり笑っているなかで
セックスの後の体が軽かったこと
まるで自分のものじゃないみたいに思ってたもののすべてが
ほんとうに自分のものじゃないとわかったこと

ぬかるみを選んであるいてきた
自分のことが大切ではなかった
いまもほとんどかわらない思いをして
切って覚えた輪郭をころがして
かわいた道路に泥をさがしている




自由詩 道路 Copyright はるな 2021-10-25 22:39:32
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