無色透明ノ硝子キューブ 
あらい

 寝そべる蕾たちの白々しい艶消しにふらついて
 誰も彼もがモザイクタイルの朝な夕なに心奪われる

            発色の良い風景に溶け込む
           低俗なあぶくの零れ噺ばかり
 何処までも跳んでいけるのだと
       (だまされたいのち)
            黙って、のぞいてごらんよ

         悪趣味な茨を穿いた、
 腐蝕した魂は未だ臙脂の月とうつろい、
       共色を求め彷徨っているようだった。
 (慎ましくこじんまりとした聖職者のよう)
 削ぎ落とされた執着を未練ものこさず光と散る
         堂々とたるプライドもなにもかも

 水増しされたスウプの上澄みでしかないというのに

                夢も見ないほどに
                    底に亘る
          手巻き式オルゴールの 
          せせらわらい、
         絶えず澱み濁り。
         姿を留めている 

      流れは 饐えた銃口に抗えない
     取り除かれた みずたまの いちぶ

 瑞々しい緑青の苔に 腰をおとした、
             わたしたちの秘奥とは
 ここは どこかへ ゆく、
      なにいろにも みそめる。
            造花の窖へ、御機嫌よう


自由詩 無色透明ノ硝子キューブ  Copyright あらい 2021-10-20 22:09:59
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