意識の夜に
ひだかたけし

真夜中が近づいている
ベランダに出て夜風にあたる
街灯の列が何処までも続き
なんて素敵な夜だろうと思う
昼間森で見た花の群落が
今頃青白く光っている
風は優しく穏やか
主観と客観が溶け合い
意識は俄に広がり始め
静かに、確かに
この孤独な内面から
なにかが流れ出し溢れて来る
(郷愁のようなもの、憧憬のようなもの)
何一つ欠けたものはなく
何一つ過剰なものはなく
欲望の均衡、中庸の心
はっきりとした輪郭持ち
一陣の風が吹く
そうして涙は流れる
此処に在る肉身を
うっとりと濡らし
真夜中の出来を待ちわび
涙は流れる










自由詩 意識の夜に Copyright ひだかたけし 2021-10-19 21:39:04縦
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