葬場 鳳翼の真人
あらい

乱雲流れ去る、その懐古、あまねく。
           わたしたちは、みなしご
           胡散臭い湖へ 舟を漕ぐ

  今日もまた絞め殺す その的を射る
   搾られたシグナルに 今を偲ぶために
    刻印を畳み込む つばさをひろげよ

ひややかな嘴でつつかれたらば 和紙に綾錦、
 どんよりとした川面に移り住む、錆びた棘と蔦
       嗚咽が滞留する ときには、落花。
(なにもいきなくても いい、から、)
           散り敷かれた濡れ朽ち葉
         既に枝が涸れた、喉を抑える。

ぽつんとした ひとり、で
  華のように微笑み、わたしが囁いた。気がする

  清純な白桃の きめ細やかな、『産、初、生』
        (愛せなくても、)
     地を統べる芒野原とも、わたしだけを
「だきとめてあげなさい」
      表皮を撫でるように刃を埋め
     何処へもいけないように閉じ込め
――甘露まろびでる           それで
         雁字搦めに溺れてしまうね。

    天体観測を皆皆、レポートに処しなさい
 それを読み解いて、千羽鶴にした青海を
    吊った極色の糸を巡らせた千切れ雲に磔

サンドピクチャーに迷い込んだ、
       傲慢なとりたちと
       永遠の夢の為に、
       そのシノニムで とどめをさす
繁吹いた創痍も、レプリカの灰と嘯く。
  かげがあなたであることをゆるしてしまいます


自由詩 葬場 鳳翼の真人 Copyright あらい 2021-10-19 21:10:33
notebook Home 戻る  過去 未来