テレビジョンはずっと
竜門勇気


酷いニュースが部屋のドアを
叩かないようにもっと
ぼくは感傷的な盾を磨かなきゃ
音がするくらいピカピカに

幾千の爆弾と
きれいな機関銃が
世界を脅迫してる
自体は深刻さ
身代金と誘拐犯はお互い
興味を持てないで居て
人質と世界はまだ
繋がりが見えない

酷いニュース。例えばこんなふうだ
逆らっちゃだめだ
太陽の方に向かってただ絶望してればいい
よくあろうとするほど
写真の中でしかうまく笑えないことに気づく

屍の上で笑っちゃいけないなら
僕も生きていてはいけない
罪の産んだ子が罪人だったときは
罪人は罰を受けないだろう
テレビは今日も人を殺すし
晴れた日こそ苦しめと言い放つ
お金があるときに使い方を教えてくれるけど
無いときには水でも飲んでろってさ

テレビジョンはクソだ
でもぼくは虜さ、君が好きだよ
テレビジョンはクソだ
知らなきゃよかったけど
テレビジョンはずっと
テレビジョンはずっと
真夜中の孤独を純粋にする
真夜中の間、純粋な装置になる

あの、昔さ
昼間には
幾千の爆弾と
僕に向けられた無数の銃口、みたいなこと
あんなこと言ってたのによ
真夜中の間中ぼくのそばにいてくれただろ
音楽を流しながらずっと
駅前の様子を映しながら
あれだけが救いだったよ
学校にも行けなくて
家の中でも動けなかった
親からちょろまかしたビールを飲みながら
何ヶ月もつけっぱなしの電灯の下で
あの時間だけ生きている気がしていた
あの時間がずっと続けばいい
クソのようなことはやめて
ずっとああしていてくれ

テレビジョンはずっと
テレビジョンはずっと
優しくてなんにもならない
あの光が左右するだけの
駅前をブルーハーツと一緒に
流していてくれればいい

誰かが死んだとか
誰かが殺したとか
もうそんなのは君から聞きたくない

テレビジョンはずっと
テレビジョンをずっと
テレビジョンをずっと


自由詩 テレビジョンはずっと Copyright 竜門勇気 2021-10-19 11:14:13
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