美しい一手
花形新次

大して強くもない将棋だが
美しい一手があることは分かる
今はソフト評価値と最善手を
見ながらの観戦だから
昔のような感動は少なくなった
ただ、ソフトとの一致率で
凄いとか凄くないとか
言っているだけだ

味気なくなってしまった中で
羽生善治という人は
今も昔も
勝つことよりも
美しい一手にずっと拘って来た
私にはそう思える

G・H・ハーディが
数学の公式や証明にも
美醜があるというのと
同じように
将棋の指手にもあるのだ

最終盤で
大駒を惜しげもなく捨てて
華麗に敵玉を詰めるとき
羽生善治の手は
必ずと言って良いほど震える

美しい女性を
探し当てたときの
私のポコチンのように


自由詩 美しい一手 Copyright 花形新次 2021-10-14 19:08:33
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