中目黒の記憶
番田 

昔僕は、そう遠くはない昔ではあるのだが…、招待状をもらっていたということもあり、会社に入りたてだった男の結婚パーティに行くために、バスで中目黒に向かっていた。でも、中目黒に行くという事自体は、僕は、初めてのことではなかった。前にいた会社の上司に連れられて、そこにある巨大な淡水魚の泳いでいた水槽のあるバーに行ったことがあった。そこにいた女性店員から、自分がスタイリストになりたいのだという話を聞かされていたことをよく覚えている。今よりも、まだ、CDがツタヤで借りられていて、雑誌や音楽が、直接的な形で売れていた頃の話である。ただ、当時でも、店でCDを借りるということをまわりから珍しく見られはじめていたということだけは、よく、僕は覚えているのだが。


僕は会場である喫茶バーのようなところで、個別会計の酒を飲んでいた…。会社の同僚である、年下の二人もそこにはいたものだった。そのうちの一人の女の子は駒沢公園の近くで暮らしていた…。何度か、彼女の部屋でカニや酒を持ち寄って食べたりしていたことがあったものだった。あれはいつだったのか、もう、よく、おぼえてはいないのだけれど…。かなり真面目に仕事に取り組んでいた二人。僕とは、セクションは異なっていた。でも、よく、酒は飲んでいた。帰りはどのようにして帰ったのかまでは覚えてはいない。彼のいろいろな知人や友達であろう人が店の中には出入りしていた。今は、名前の違う店が同じ場所にはあるのだが。



散文(批評随筆小説等) 中目黒の記憶 Copyright 番田  2021-10-05 01:35:36縦
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