ゴルゴ十三
花形新次

ライフル銃で
窓から
道行く人々を
一人ずつ射殺する
彼らの憂鬱を
解消してやるためと
俺の暇を潰すためだ

海辺のこの街では
とんびがぐるりと輪を書いて
射殺体を今か今かと待ちわびているから
野生動物のためにもなっている

優しくなりたい
ライフル銃を手に入れてから
そう思うようになった
「強くなければ優しくなれない」
フィリップ・マーロウが言いそうな
セリフが浮かんで
恥ずかしくなったので
通りがかったUberイーツの配達員に
狙いを定めて引き金を引いた

配達員はバイクごと倒れ
辺り一面に
配達員の脳髄と
CoCo壱のカレーが散乱した

「頼んだ人に幸あれ」

今俺が言えるのは
それだけだ


自由詩 ゴルゴ十三 Copyright 花形新次 2021-10-01 21:26:31
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