夜半麻酔
霜天

どうにも身動きが取れなくなる私の
胸の上のあたりで、座っている息苦しさは
行進の仕方を忘れて
隊列に戻れなくなっている
らしい

それは確かにそこに存在しているので



手を頭の後ろに置いて
甘えてくる夢と
甘えたくなる記憶とに
混ざり合うようにして、巻き込まれていく
白い音、白い空
このあたりの景色では
暖かいものが紛れ込むようで
とりあえずそれを春、と呼んでおいて
目を閉じる

酔うような足取りで
私は確かに泳いでいる



酔い覚めのような曖昧さで
私の、腕に残っている痺れは
もうずっと
遠い頃から刻まれているような確かさで
私の芯にまで、じわじわと広がっていく
ぼんやりとした、息苦しさに押されるようにして
私はもう一度
目を、閉じる


自由詩 夜半麻酔 Copyright 霜天 2005-04-27 01:35:13縦
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