抱きしめて
ひだかたけし

あまたの声が木霊する
陽炎のように消えゆく前に
それらの声を抱きしめる

遠い地平と波打つ黄金

わたしは彼らと交わった
消えゆく前に、消えゆく前に
もう一度だけ抱きしめて

黄金に輝く陽炎を
果てない球体から追いかけて
何処か遠くで刻まれた
遥かな懐かしさに眩めいて

垂直に降り注ぐ声、声、声
連弾される記憶の奥
繋いだ手と手のぬくもりを
そっとしっかり抱きしめて
















自由詩 抱きしめて Copyright ひだかたけし 2021-09-29 20:12:11
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