攻撃性
松岡宮

熊笹の獣道を誰かが歩く
うっかりと穴を踏み抜く
ガサ
滝つぼに落ちたあと爆発音がして
誰かの身体はもう粉々
自分のなかにはそんな穴があって
胸に手をあてたとき
大きくもないその手はすでに殺戮を繰り返した手だ
ガサ ガサ
雪解けの斜面を這いずる水音
攻撃性の蛇が躍りやまない
神さま 非力をありがとう
誰かを殺めることが不可能な
そんな 非力をありがとう


自由詩 攻撃性 Copyright 松岡宮 2021-09-25 23:29:45
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