茄子の花
そらの珊瑚

晴れた日の海のような青
遠い島まで泳いで行けそうな空

台風の落としものを拾う子ども
背中には
期間限定の羽

台風が去った朝に
台風の行方を考える
身軽なようでいて
実は
ひとりでは何処へも行けない台風の身の上
それもまた
不自由でいて
自由だ

しいん、と澄んだ庭先で
薄紫の六つの花びらが空を見ている
命は
静かに密かに灯り
何処かで小さな風になった今日と
無邪気に交信している


自由詩 茄子の花 Copyright そらの珊瑚 2021-09-20 10:33:13縦
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