彦根湖岸
AB(なかほど)

  

ふいに淋しくなる
なんて口にしながら
随分と
正体も無くして
やがて眠りにつく

ひとの子の様で
子猫の様で
寝息とその顔は
野に咲く花が
白い野の花が揺れていた畔と
蝋燭の記憶
人間の記憶

雲かかる
もうじき降りだす
かさはささずに
駆ける足下の野の花も   
瑠璃色になる





ふいにさみしくなる
 なんてくちにしながら
  ずいぶんと
   しょうたいもなくして
    やがてねむりにつく

ひとのこのようで
 こねこのようで
  ねいきととそのかおは
   のにさくはなが
    しろいののはながゆれていたあぜと
     ろうそくのきおく
      にんげんのきおく

くもかかる
 もうじきふりだす
  かさはささずに
   かけるあしもとのののはなも   
    るりいろになる


  
 


自由詩 彦根湖岸 Copyright AB(なかほど) 2021-09-16 19:53:41
notebook Home 戻る  過去 未来