生栗
46U

 生栗の皮むきというのをやってみたくて、お勤め品のを買ってきた。
 実家では、「危ないから」とさせてもらえなかったので、どきどきする。
 水で3時間ふやかし、まな板の上でざらざらした尻をちょいと落とす。
 その傷口に包丁をひっかけて頭の方へむくと、べりべりと簡単に鬼皮は除去できた。
 渋皮はむかず、重曹を入れた水に3時間つけてから、4回ほど茹でこぼす。
 ラスト、栗と、ようやくかぶるほどの水をはって火にかけ、茹で汁が熱くなったところで黒砂糖を入れる。
 栗は12個、投入した黒砂糖は100グラムである。
 そのまま煮て、汁のかさがいい塩梅に減ったら火を止め、冷まして味が沁み入るのを待つ。
 渋皮煮の完成。初めてにしては成功だった。
 で。残った汁をどうするか。
 我が家の経済では黒砂糖はぜいたく品である。
 捨てるのが惜しいので、マグロの血合いを煮しめるのに使った。
 激美味。
 調子に乗って、後日、鶏の肝を煮るのにも使った。
 不味いわけがない。
 余すところなく食い尽くして、栗とはいいものだなあと思った秋である。



散文(批評随筆小説等) 生栗 Copyright 46U 2021-09-04 17:45:53
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