表情
水宮うみ

その海は静止していて動いてるように見えるのは錯覚だった。



階段の裏側でまた目を瞑りだれかの青い落書きになる。



愛にあふれた優しさでわたしのにあふれる涙がありふれている。



あやふやなままに終わったたくさんの悲しいことは今日も生きてる。



陽に揺れる草木があれば、あなたには理解されなくていいと思った。



体内で揺蕩う水の色彩を想うと心は安らいでいく。



あの人がまた自販機でカフェオレを買うようになるまでのお話。



相変わらず愛も変わらず恋のうた可愛く天の川に流して。



どこにもいない誰かにありきたりな名前をつけて人間になる。



わたしが世界だと思っていたものはわたし自身に過ぎなかったよ。



表情や仕草にふいに表れる悲しみの跡を今日も避けてる。



「まるで人みたいに笑うね」と君は、人間じゃないみたいに笑った。



自らの視たものこそが真理だと信じて眠る無数の孤独。



人類の書類と秋の天使たち 冴えない日々に笑って暮れる。



待ち遠しい気持ちとそのまま永遠に居れたら夢は汚れなかった。



きみが今何をしているかを想う また過去ばかり美しくなる。



あの時の僕の言葉が間違っていると、あなたが知っていたらいい。



空の下 青く静かに争った あふれる涙にふれる指先。



散歩してたら人格が無くなって、景色に溶ける瞬間がある。



しょうもないこと言ったりして笑ってる時間が一番好きなんだよなぁ。



その先は光にちかい緑色。いつも線路の隣を歩いた。


短歌 表情 Copyright 水宮うみ 2021-08-31 12:23:38
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