黎明
凪目
季節を渡ってくる雲を
草原中が抱きとめる
旅人は小銭をはたいてパンと
冷たい目覚めとを買う
天体のまばたきが鱗粉を降らし
舟は岸から離れていく
枝から伸びる実を吸っては
羽ばたいていく光
灯台守は日誌を手放し
終の住処を発ち去っていく
さざめきの中を生き物が泳ぎ
鉱物の速さで虹は燃える
逆光の影からなんでもないような
口笛が響いて
琥珀に解ける
自由詩
黎明
Copyright
凪目
2021-08-31 00:23:17